FTMの私は、この世界を知らない人からいろいろな質問をされてきた。
(女性好きであることを前提に)彼女いるの?
とか、
ちんこは付いてるの?
とか。
ほとんどはそりゃ気になるよなあ、と思う質問で、なおかつ日常生活に関するものも多い。
というわけで今回は、完パスの定義を踏まえたうえで
男性として生きる戸籍上女性のプライベート(の一部)を連ねてみる。
※あくまで私の個人的な生活背景です。すべてのFTMに該当するものではないので悪しからず…。
「完パス」とは何ぞや
まずは「完パス」という言葉の説明から。不要な人は飛ばしてね。
これはトランスジェンダー界隈でよく聞く言葉で、「完全にパスしている」という意味。
FTMであれば男性として、MTFであれば女性としてほとんど違和感なく見られる…ということ。
戸籍上の性別を変更したらパスする必要はなくなるので、多くの場合は「ホルモン注射だけしているけど、男性として生活している」みたいなイメージで使う言葉だ。
私のように、ホルモン注射を継続中&胸の手術が終わっていて
でも戸籍上は女性です~って人も「完パスです」って言ったりする。
正直、定義は人によって違うみたいだけど
大まかにはこんな感じの認識で問題ないだろう…。
男性として生活する、戸籍上女性FTMの日常
ここでは私の個人的な生活や意見を連ねるので、
完パス=社会的性別が男性という定義に基づくことにする。
Q.仕事は? A.もちろん男性設定
男性として生活しています!と言うと、なぜか
会社でも男性扱いなんですか?(純粋な瞳)
と聞かれる。
私としては、当然だろ!って感想しかないのだけど
戸籍上が女性なのに男性として勤務できる事実に驚く人も多いらしい。
私の場合は、戸籍上の性別とアソコが女性なだけだ。
なので、ふつうに働いているうえでは女性として振る舞うほうが難しい。
ちなみに、私の職場で性別のことを知っているのは一部の人だけ。
保険証を見る機会がある人は、性別欄を見て気付く。
(もちろん面接なんかではカミングアウトするけど、大抵はふーん…ってくらいだ)
今まで転職経験もあるけど、
性別のことでトラブルになったり、女性でいろ!なんて言われたりしたこともない。運が良かっただけかもしれないけれど。
Q.トイレは? A.当然、男性用トイレです
これも、社会的性別が男性の私からすると当然の答えだ。
むしろ女性用トイレに入れると思っていたの…?と疑問に思う。
私はホルモン注射を始める前から男っぽい格好をしていたから、
わりと早い段階で男性用トイレを使い始めた。
女性用トイレで「えっ、男の子?」って顔をされることはあっても、その逆はなかったからだ。
外見なんてときにはいい加減なもので、明らかにメンズ用の服装なら男性トイレのほうが安全に利用できた。
(もちろん、イヤな気がする人もいるだろうから本当は女性用が適切かもしれないけど)
ただし、立ちションはできないので
おしっこだけしたいときでも、個室トイレ以外の選択肢はない。
基本は男性だけど、温泉やトイレは困るシーンもある
戸籍上の性別が女性のままでも、おちんちんが付いていなくても
ふつうに社会で生きていくだけなら、とくに大きなトラブルには発展しない。
しかし、場合によってはちょっと困るシーンに遭遇することも。
もっとも多いのは、やはりトイレ。
立ちションができないというだけで、ピンチに見舞われることもある。
たとえば山のほうへ釣りに行ったとき、(トイレが遠ければ)男性は当然のように立ちションで尿意を解消する。
ところが私はそれができないので、個室トイレを見つけるまで我慢しなければならない。
小規模なトイレは個室が備わっていないこともあるので、この場合もひたすら我慢だ。
最悪漏らすリスクがあるので
明らかにトイレの数が少ないシーンにおいては、水分量をかなり控えて膀胱に余裕を持たせることもある。
※FTMの立ちションをサポートするアイテムなんかもあるんだけど、
清潔感が気になるので私は使ったことがない。
そして、もうひとつピンチになりやすいのは、共同のお風呂や温泉。
お察しの通り、下半身をガッツリ見られると確実に不審者扱いされる。
私は一度だけ男としてスーパー銭湯に入ったことがあるのだけど、ヒヤヒヤしてシャワーどころじゃなかった。
でも意外とバレずに突破できたのは、男性ホルモン注射で増加した陰毛のおかげだろう…。
男性でも陰毛が多い&息子が小さめだと、毛に埋もれて頭も出ないらしい。
骨格が異なるので敏感な人にはバレるかもしれないけれど、毛に頼ればなんとかイケるかも…と思ったり思わなかったり。
※立ちションと同様、簡単に装着できるおちんちんグッズもあるので
カミングアウトしていない男性と温泉へ行くときは備えておいてもいいかもしれない。
つまり基本的には全部“オトコ”なのだよ
社会的性別が男性、というのは
つまり生活におけるほとんどを男性として過ごしているということだ。
男性であることを望んでいるのだから、
自ら望んで男と女を使い分けたりなんてしない。
FTMの生活を知らない人はどこまで男としてイケるの…?と思うかもしれないけれど
ここまでで書いたように、基本的にはすべて男でやり切っているというイメージで間違いないだろう。
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