「FTM」と「オナベ」に違いはあるのか?差別的要素の有無と、人によって変わる受け取り方について

性のお話

サイトでのやり取りや実際に会って私と話をする人の多くは、
私のような人たちのことを総称して「FTMさん」と呼ぶ。

たまに「オナベさん」という呼び方も見たり聞いたりするけれど
一部のFTM当事者たちはこれをかなり嫌悪しているらしい。

そこで今回は、「FTM」と「オナベ」の違いについて考えてみた。

※個人的な考察と意見なので、すべての当事者が私のように感じているわけではありません

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そもそもなぜ「オナベ」という言葉が存在するのか

まずはそもそも論から掘り下げてみる。なぜFTMの別の呼び方として「オナベ」があるのか。

これは、お察しのとおり「オカマ」が深く関わっている。

もともとは「お尻・肛門」を表す俗語として「オカマ」が使われていた。

女装してカラダを売る男性を蔑んで、そう呼んでいたらしい。

そこから徐々に広義的な意味を持つようになり
昨今のように、女性っぽい男性やニューハーフの人たちを「オカマ」と呼ぶようになったのだそう。

つまり、現代でも知られているとおり
「オカマ」は言葉の誕生当時から差別的要素を持っていた

そうして、オカマの対義語として「オナベ」が誕生(時期は不明)。

だとすると、オナベもオカマと同様に差別的要素を持っていると考えるのが自然だ。

仮に差別じゃなくても、個々で考える定義が違う

画像はイメージ

なぜ記事にまでして取り上げたかったかというと、
人によってFTM・オナベの認識が違うから。

FTM=オナベの人もいるし、そうじゃない人もいる。

オナベの定義がかなりあいまい

「オナベ」を使うべきかどうかは
差別か否かという問題以外に、「どんな意味で使っているか」も重要になる。

私が思いつく定義や意味合いは以下。

  • コスプレなど限定的なシーンで、男性として振る舞っている
  • 女性として生活しているが、男性っぽい一面がある
  • 戸籍上は女性だが、男性になりたい(性別違和・トランスジェンダー)
  • 性別違和当事者として、男性化への治療を進めている
  • 出生時は女性だったが、戸籍上も男性に変更した

ざっと挙げただけでも、5つのパターンがある。

心の性別が男性であるという明確な定義を持つ「FTM(Female to Maleに対して、
「オナベ」と発言する人が、上記のうちどれを定義としているのか瞬時には分かりづらい。

イベントなどで男装を楽しむ人を「オナベ」とする人もいれば、
戸籍上が男性の、いわゆる”本当の意味で”元女性の人をそう呼ぶ人もいる

上の5パターンのひとつだけをオナベと考える場合もあるし、
すべてのタイプを総称して定義づけている人もいるのだ。

「自分はオナベじゃない」というFTM

画像はイメージ

FTM当事者のなかには「自分は”オナベ”ではない」と主張する人もいる。

これは「差別用語なので使わないでくれ」という感情のほかに
単純に「定義・意味が違いますよ」と言いたがっている可能性もじゅうぶんにある。
(実際に数年前そう話すFTMと出会った)

つまり、自分は男性になりたいトランスジェンダー当事者であって、男っぽいだけとか男装が好きとかいう人たちとは違うカテゴリだよ!ってこと。

もちろん差別されているように感じて嫌悪する人も多数いるけど
言葉の意味がずれたまま会話すると、発言者に対してもっとイヤなイメージを持ってしまう。

ボーイッシュな女性=オナベと思ってる人も多い印象

私はマッチングアプリを活用して男性と知り合う機会も多いのだけれど、
「FTM」と明記しているにもかかわらず

オナベさん好きです!おっぱいは何カップですか?

と聞かれたことがある。

これはもしや…と思って

ボーイッシュな女性って感じではなく、ほぼ男性です。社会的性別も男性ですので…。そしておっぱいはございません。(要約)

と返信すると、既読スルーされた。((悲

FTMって書いてるのにこう送られるのはちょっと意味不明だけど、

オナベ=サバサバしてて見た目も男らしい(でも女性として生活している)女性

という定義で考えている人も多いんじゃないかと思う。

当事者は差別と感じているか?状況によるよね

じゃあ君はオナベと言われてイヤな気分になるのかい?

と問われると…私は案外平気だ。FTMと同義で使っているなら間違っていないし。

しかし、男っぽい女性に対して「オナベ」とあだ名を付けたり嘲笑したりしているのを見ると、それは完全に差別だろうと感じる。

仕草が女性っぽい男性を「オカマじゃね?」とからかう行為が差別になるのと同じように。

むやみにオナベオナベ言わないのが一番

オナベという言葉自体が差別だから使うべきでない、という風潮は強くなっていると思う。

私のように(正しい使い方なら)気にならないFTMのほうが少ないのかもしれない。

さらに、オナベの定義も人によって異なる。
これまで当事者に「オナベくん」なんて言っていた人も、相手が変われば一瞬で嫌われる可能性だってある。

そんな危険でややこしい言葉なら、むやみに使わないのが一番よい。

私みたいな人のことは「FTM」とか「トランスジェンダーの元女性」とか呼べばいいし、
男っぽい女性が好きなら「ボーイッシュな女性がタイプです」で伝わる

短いし幅広い世代に分かりやすい言葉ではあるけれど、平和的に会話するなら「オナベ」を避けるのが賢明だろう。

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